公演記録
「Dead とか Alive」
脚本・演出 木下伸也
「お疲れ様。あなたは 死にました」
死後の世界を舞台にしたシチュエーションコメディ。
交通事故で死亡した男、佐川信行(吉田和美)はひとつの部屋にたどり着いた。その部屋で佐川は2人の男に出会う。死亡したことを本人に伝え、次の部屋へと送る役人。新人でゲイの朝比奈浩二(久米靖馬)とその上司で堅物の吉良徹夫(木下伸也)の2人である。
混乱する佐川。上から送られてきた書類の通り佐川を地獄に落とそうとする吉良。佐川に一目惚れし、吉良に背いて天国に送ろうとする朝比奈。3人それぞれの思惑を乗せたまま、事態は転がり続ける。
基本的に善人の佐川。しかし、吉良の上司の母校に野球で勝ったことがあるという理由で地獄行き。戦時中、童貞のまま特攻隊で死んだ吉良も佐川の女性遍歴が気にくわない。佐川と朝比奈の友情(片方は愛情)ゆえの努力も空しく、佐川の地獄行きはさらに上司の元昆虫に決定される。佐川の昔の趣味が昆虫採集であるがゆえに。
絶望的な状況の中、転機はふいに訪れる。佐川の祖母が吉良の婚約者であったという事実が発覚する。と、同時に吉良は佐川を天国に送る決意をする。究極的に不利な状況を、3人と朝比奈の友人で管制室で働く亀田(声:服部真和)の4人で無理やり打破する。めでたく佐川は天国行きを許されるが、もう一つの選択肢を提案された佐川は、迷わずそちらを選ぶ。もう一度、別の人間として生きること。
反対し、天国へいかせようとする吉良、純粋に佐川を応援し続ける朝比奈。次の人生でこそ生きた証を手に入れたいと願う佐川は吉良の用意したくじ引きで「人間」「コスモス」「ゴミ収集車」「大腸菌」の中から無事人間を引き当て、その部屋を後にする。
卵子を目指して旅を続ける精子の佐川とその仲間。しかし、生活習慣病の父親ゆえに卵子にたどり着いたときにはボロボロの佐川のみとなる。力尽きる佐川を命がけで助けにくる吉良と朝比奈。朝比奈のこん親の一撃で、開く卵子の壁。その中に入る佐川。そして佐川はただ純粋な存在として新たな人生のスタートラインに立つ。